社会人リーグのサッカーの試合中の怪我で損害賠償命令。これからのスポーツに影響しそうな事案




2012年6月、東京都社会人4部リーグの試合に出場していた30歳代男性が、試合中に相手のスライディングを左足すね付近にぶつかり骨折した問題で、東京地裁が相手選手に247万円(請求額689万円)の損害賠償命令の判決を出した。そのことが新聞やヤフーニュースのTOPなどに掲載されたため、多くの人がそれを知ることとなり、サッカーのみならず、今後のスポーツとの向き合い方を考えさせられる事案になっている。

スポーツでの怪我は損害賠償の対象になるのか?

スポーツを競技として、競い合うことを前提とした場合、試合・チーム練習・合宿を問わず民法上賠償責任はないと考えられています。しかし、試合や競技ではなく、スポーツを楽しんでいる最中の賠償は責任があります。(via:「ダイバーズ」保険に関する質問)

例)
1.サッカーの試合中、相手にスライディングをかけて大怪我をさせた。
=>試合中のため、損害賠償の責任がない。

2.サッカーのチーム練習中、相手の顔面にボールがあたり歯が折れた。
=>練習中のため、損害賠償の責任がない。

3.公園で友達とサッカーのボール蹴りをしていたところ、通行人にボールが当たり怪我を負わせる。
=>遊びとしてスポーツをしているため、損害賠償の責任がある。

1,2番目は試合中・公式な練習中であるため、損害賠償の責任がありませんが、3番目のみ、遊び(あるいはその延長線上)でスポーツをしているため、損害賠償の責任が発生する。また同様に、スキーやサーフィンなどで接触して相手を怪我をさせた場合、それが試合中でなければ損害倍対象になりうる。

著しいルール違反や危険なプレーがあった場合

一般的に、スポーツ中に発生した事故に関して、著しいルール違反や危険なプレーがない限り、賠償責任は発生しないとしている。(via:損保ジャパン日本興亜QA)。

スポーツの競技中に選手同士が衝突して事故になった場合、損害賠償請求をしようとすると「不法行為責任にもとづく損害賠償請求」という法的構成になるのが一般的です。これはだれかの故意または過失によって権利侵害が生じ、その結果損害が生じた場合は賠償せよと迫るものです。(via: 法律情報サイトLegalus)

したがって、著しいルール違反や危険なプレーがあれば、損害賠償責任の可能性が発生し、その判断や損害賠償額算出の基準として、故意があったのか、あるいは、過失があるのか、が問われるようです。

冒頭のニュースの事案の場合

怪我を負った側は「スパイクの裏側で故意に蹴られた」と主張しているのに対し、相手側は「ボールに向けて左足を伸ばした。けがは予見できなかった(故意ではなかった)」と主張しており、この両者の主張に対し「男性の負傷を十分予見できた」とし、損害賠償の判決を下しています。

文字から試合中の状況を把握するのは不可能ですが、このような状況は、サッカーの試合では一般的によくあるシチュエーションですし、さらには、ファールをすることによって相手のゴールチャンスを潰すことができるのであれば、カード覚悟で故意に相手に足をかけ転倒させることを、わざとやることもあります。

相手が骨折という大怪我でなければ、相手側も訴訟しなかったでしょうが、スパイクの裏を見せたスライディングをした結果、当たり所が悪く骨折という大怪我に繋がってしまったというのであれば、200万円以上を賠償請求されるのは、感覚的にバランスが悪い判決に聞こえます。

ネット上では、
「このように損害賠償が認められるのであれば、常に怪我を意識してプレーしなければならず、試合に集中できない。また、国全体のレベル低下に関わる」

「特にラグビーやアメフト、柔道などの怪我をしやすいスポーツなどは真っ先にアウト。悲惨な裁判合戦になりそう。」

「野球も殺人スライディングを規制するルールができたので、スポーツの故意的な危険プレイは規制する流れにある。」

「リーグ運営側が、参加条件として、スポーツ保険に入っていることを必須にするべき。」

という声が見られた。


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