渋谷駅の発砲事件とtwitterジャーナリズム




常にネットワークに繋がる環境が整い、カメラの付いたモバイル端末が普及することで、世の中の多くの人が情報を発信できる立場になった。俗に言う、一億総クリエイター、一億総ジャーナリストの時代だ。

2009年アメリカニューヨークで起きた、US Airways 1549便のハドソン川への着水事故では、どこよりも早く情報を報道したのは、テレビや紙面などの既存メディアではなく、facebookやtwitter、tumblrなどといったソーシャルメディアだった。その旅客機に乗り合わせてしまった乗客は、使命のジャーナリストとなり、現地の状況の文章や写真をSNSを通じて掲載し、多くの人の情報のよりどころとなった。

日本では、2011年に発生した未曾有の大震災を教訓に、ネット媒体の情報通信手段として、LINEがリリースされ、その後の活躍はご存知の通りである。

事件というものは突発的に起こるものであるため、真っ先に情報を受信できるのは、事件現地にいた人たちだ。そういった人たちがスマートフォンの普及により、即座に情報発信者側に回れることは非常に意味があって有益だ。

例えば、普段よくあるところでは、電車の人身事故による運行状況や駅の状況などは、twitterの投稿を見ていれば、迂回するルートを選定するのに役に立つ。

今回の渋谷駅の発砲騒ぎも、情報が少ない中、twitterだけはリアルタイムに書き込みが流れていた。騒ぎのあった渋谷駅田園都市線は、普段よく使うルートで、今まさに渋谷駅に向かおうとしていた中で受信した情報だった。

その内容は、Naverまとめを見てもらうとして、ツイートの内容には目を疑うような情報も流れていた。

「渋谷で男が銃を乱射。」
「渋谷駅は規制中。」

タイムラインに流れる情報は日本ではなく、まるでアメリカや中東のニュースのようだったが、このような生の情報を写真つきでリアルタイムで知ることができるのは、本当に素晴らしいと思った。しかし、時間が流れるにつれ、違和感に気づく。

鉄道各社が提供する運行状況の情報の中に、「発砲のために」とか「遅延」という文字は含まれていなかった。実際に事件のあったであろう渋谷駅のプラットフォームに行ってみても、一つの車両のドアが開かないだけであって、普段の駅と変わらなかった。

どうやらつまり、ツイートされた情報の中に、デマや誇大表現が含まれていた訳だ。そして、過激ツイートに反応したツイッター民がそれをリツイートし、情報だけが一人歩きしてしまった。

その情報の肥大化は、ロケットニュースのエントリーが表現している。

・Twitterによるデマのランクアップ
拳銃の形をしたライターを振り回している(本当)

モデルガンのようなものを振り回している(勘違い)

拳銃を振り回している(勘違い)

銃で発砲した(デマ)

銃で乱射した(デマ)

特にツイッターのようなSNSでは、「事実としての情報」よりも「文字として過激な情報」の方が情報が拡散するらしく、雪だるまのようにデマ情報が成長していくみたいだ。

techcrunchでは、先日のアメリカでおきたアシアナ航空で起きた着陸事故を受けてだろう、「人はなぜ止めどなく悲劇をリツイートするのか?」という記事がポストされていた。

一億総ジャーナリストが成り立ち、人間がテクノロジーの進化に追いつくには、人の気を引きたいという感情と、人の役に立ちたいという感情のバランスが必要なのだろう。というか、twitterの民度か?


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