観光立国日本をオタク・アニメ文化が支える
外国人がしばしば「Only In Japan(世界で日本だけ)」というワードを口にするように、日本が持つ独特の文化やオタクカルチャーは外国人を魅了してやまない。
街でよく見かける自動販売機は日本人にとってありふれた光景であるが、外国人旅行者の目から見れば、「壊されていない自動販売機が4つも並んでいるなんてありえない」「種類が豊富すぎてすごい」「携帯電話でジュースが買える」「タッチパネル式の自動販売機が未来的」「500ml缶のコーラが売ってる。」という感想を持つようで、事実、ただの自動販売機が写真を撮るスポットに変わっている。
ご存知のように日本は、2007年に観光立国推進基本法を施行し外国人観光客の訪日を促進させているが、2013年の外国人旅行者の数は1036万人を数え、政府が想定していた当初の目標であった年間1000万人を突破した。2010年の旅行者が861万人だったことを考えると、2011年の東日本大震災の影響を考えても順調に増加しているといっていいだろう。
しかしその一方で、2010年のデータであるが、他の各国との外国人旅行者受入数を比較すると、韓国、スイス、シリアなどと同等の受入数に留まり、観光立国日本というワードを掲げるには若干弱いランキングの位置に留まっている。
via : 日本旅行業協会
何より日本への旅行者の内訳が韓国・中国・台湾・香港からの旅行者で563万人(861万人中)もおり、近場だけで外国人旅行者を増やしているという内訳になっている事実が、日本旅行の敷居の高さを反映しているように思える。アメリカからは72.7万人の旅行者が訪日しているようだが、それでも世界は、日本への旅行は高いというイメージが持たれているようで、日本が極東の位置になっているヨーロッパからの旅行者は少ない。日本と地理的に近い、香港やマカオの数字が大きいのは、ほとんどが中国人旅行者のものがカウントされているためだろう。
しかしこのデータの中に光明も見つけることができる。ヨーロッパでは、特にフランスの若者を中心として、日本の文化やアニメなどが定着しつつあることは有名だが、それをデータづけるようにフランスからの日本への旅行者が15.1万人いる。
2011年より、主にフランスを中心に毎年開催されているヨーロッパ最大の日本エンターテイメントの祭典「ジャパンエキスポ」では、回を重ねるごとに来場者が増えており、2013年7月に開催された第14回Japan Expoでは、ヨーロッパ各国から23万を超える来場者が日本文化に触れるために訪れ、97%の来場者が満足したと回答しているという。
このイベントは現在、さまざまな日本文化を伝える場として成長しており、713の出展者が新サービスや新商品のプロモーションを行ない、80名近い出展者が日本から参加しフランス未上陸の商品やサービスを発表した。また別の一角では、来場者のはファッションショーやコスプレ大会が開かれ、また別の場所では、高画質スクリーンを前にゲーマー達がテレビゲームで盛り上がった。
この巨大なイベントには日本も期待しているようで、地方自治体や行政機関からの参加が目立ったいたようだ。日本のご当地ゆるキャラとして地位を確立している「ひこにゃん」や「くまもん」は海を越えてヨーロッパの地で彦根や熊本のプロモーションを行い、初音ミクの生みの親、伊藤博之氏などの講演会、茶道デモンストレーションなども開催された。
Japan Expoは、まさに日本のエンターテイメントカルチャーを海外に居ながら体験できる場所として活用されているようで、2013年8月にはアメリカで第1回のJapan Expoが開催された。このような環境が日本から遠く離れた土地で継続して拡大していけば、いつか、「本場の日本を味わってみたい」という外国人を増やしていくことにつながるに違いない。
日本は東京オリンピックが開催される2020年に向けて、外国人旅行者2000万人という数字を目標として打ち出している。2010年のデータを基にすれば、2000万人という数字は、外国人旅行者受入数ランキングの上位10位前後に入れる数字だ。しかし、何よりも注目したいのは2000万人という数字だけではなく、その内訳だ。訪日者が世界中に分散していればしているほど、日本のカルチャーの伝達が成功していると証拠になるのだから。
そのとき初めて、観光立国日本という言葉を堂々と言えるだろう。
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