google+の実名ポリシーの廃止に、グーグルのSNSの本気度が伝わってくる。




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Googleは、インターネットの中の世界も、いやそれだけではなくインターネットの外でも世界を征服しようとしているが、どちらかというと、本業であるインターネットの中の世界に暗雲が立ち込めていた。検索エンジンという仕組みの覇権をとったことで、インターネットの世界にぶら下がるWEBサイトの入り口として、コンテンツ配信者の頂点に立ったのであるが、誤算だったのは、コンテンツを消費するユーザー側の覇者としてFacebookが登場してきてしまったことだ。そのことにより、WEBサイトやブログなどの情報発信サイトにはGoogleを使えばリーチできのだが、個人同士がWEB上で発信する会話レベルの情報には、Googleで検索したところでたどり着くことができない。

その問題を解決する方法は、GoogleがSNSとしても覇者になることなのであったが、グーグル発のSNSはこれまで失敗の連続だった。先日、Googleが最初に世に送り出したSNS「Orkut」が9月30日に終了することを発表したが、それまでにも、2009年にリリースした「Google Wave」は2010年に終了。2010年2月から開始された「Google Buzz」は2011年10月に終了している。そして、3度目の正直ならぬ4度目の正直でSNSの覇者を狙っているのがGoogle+なのだ。

グーグルにとってGoogle+は、これまでの3つのSNSと違って本気度が違った。それまでのSNSの本命だったFacebookやtwitterよりも後発なだけあって、それぞれのよい部分をGoogle+に取り込むことができた。Facebookからは実名によるソーシャルグラフを、twitterからは趣味・嗜好で繋がれるようなインタレストグラフをサークルという機能で実現させた。

さらには、Google持っている資産とも言える多くの機能とGoogle+との融合も行われた。google検索では、Google+でのアクティビティが反映された形で検索結果が表示されるようになった。googleのストレージgoogleドライブに保存されている写真はエフェクトをかけてgoogle+に投稿することができる。普段よく使うgmailでは、相手のgoogle+アカウントが表示されるようになっている。「Picasa」のウェブアルバム機能はいつの間にかgoogle+と同期するようになっていた。また、ほかのSNSとの差別化を図るために「Google+ Stories」などの新しい機能も追加された。ここまで色々やってもgoogle+がSNSの覇権をとれないなら、GoogleはSNSの世界からは手を引くしかないだろうというくらいにGoogle+には熱が入っていることが伝わってくる。しかし、あまりに多くのものを統合した感もあった。YouTubeのコメント機能がGoogle+の実名が利用されるように仕様変更された時には、多くのユーザーの反感をかってしまった。

ここまでやってなぜgoogle+が流行らないのか理解できないが、何かが間違っていることはグーグルも感じていたのであろう。サービス開始の当初からのポリシーであった実名による登録を、ついにグーグルは認めてしまった。おそらくグーグルは、この仕様変更に2つの大きな効果を期待している。

1つ目は、Google+ユーザーが増加することと、Google+上でのアクティビティが活性化すること。2つ目は、YouTube上のコメントを筆頭とした既存機能の問題が解決することだ。

なぜ、Google+はこれまでグーグルが思い描いていたような成長になっていないのだろう。googleは実名主義を通じて、オンライン世界とオフライン世界の連結を成し遂げたかったのだろう。グーグルが様々なウェアラブルや自動運転車など現実世界にも力をいれているように、オンラインの情報でオフラインの世界を解決できる世の中は素晴らしい気もする。しかし、その一方で、どこか国民総背番号制が危険だと感じているように、人間には情報を1つの場所に管理されることに拒否感があるのだとすれば、Google+は何をやっても成長しないだろう。


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