なぜ、参入障壁の低いバイラルメディアはすぐに終了したり停止するのか?




海外産のリベラル系オンラインニュースサイト「Upworthy」が驚異的な閲覧ユーザー数を獲得した背景には、後にバイラルメディアと呼ばれる、SNSなどによるシェア文化を利用したPV数獲得手法がありました。

2013年あたりから日本でもUpworthyスタイルを真似したバイラルメディアが目立つようになり、2014年現在では、バイラルメディア発のコンテンツをfacebookやtwitterで見ない日はないほど生活に溶け込んでいます。その一方でWEB界隈では、「バイラルメディアはゴミ」「ゴミじゃない」論争が巻き起こるほど、そのPV獲得スタイルが問題視されています。

問題の多くは著作権の古さ・改定の遅さとテクノロジの進歩速さによる捻れにより生じていて、他人のふんどしでマネタイズしているという道徳的な部分と、YouTubeやtwitterが公的にembedシェアコードを提供している事実と、一方で、引用の範囲を逸脱しているような「まとめ」の仕方や、さらには、その「まとめ」のリファレンス自体が既に引用であった、という複雑さが絡み合っています。

また、バイラルメディアはメディア側がコンテンツを制作する必要がないため、記者を所有しない法人や個人を問わずに参入できる障壁の低さが特徴で、事実、サイバーエージェントのような大企業が異なる10ものバイラルメディアを(おそらく)戦略を持って立ち上げたり、あるいは、個人であっても、WordPressなどCMSを利用すれば、バイラルメディアの座組みを(数時間で)簡単に立ち上げることができます。

このような背景が、同じコンテンツが様々なWEBサイトで発信されるという実情をまねいており、バイラルメディア上のコンテンツを見たユーザーは、「面白いものを見た」と思う人もいれば、「この動画、今日で何回目だ?」と思う人もいるのですが、ここら辺は、ネットに対面している時間などのユーザー属性などもあるでしょうけど、ある側面で価値を提供していると言える訳ですが、もう一つの側面としてはゴミを量産しているとも言える訳です。

なぜバイラルメディアはすぐ更新停止するのか?

netgeekによる「バイラルメディアはゴミなんだよ!その証拠にほらもう15サイトも更新停止してる」の記事の中でリスト化しているように、既に更新が停止してしまったバイラルメディアが数多く存在するようです。サイバーエージェントが立ち上げたサイトもいくつかの閉鎖が決定しています。

なぜ、雨後のタケノコのように立ち上がったバイラルメディアは、短時間のうちにその更新を停止するのでしょうか?企業であれば損益分岐によりシビアに判断するのでしょうが、個人という立場の自分の中での答えは、「バイラルメディアはクソだ、とか否定してるけど、あなたには絶対に運営できないと思うよ」という記事に対する、はてなブックマークのコメントが代弁してくれていました。

「バイラルメディアで一番難しいのは、それやっている自分を嫌いにならないか、とか集まる批判的なものを気にしないで稼げさえすればいい、と思える心だと思う。」

バイラルメディアはキュレーションメディアの一種と言えますが、実態はキュレーションとは名ばかりの、YouTubeや海外の動画・画像メディア、あるいは他のバイラルメディアから、面白いネタを見つけてくるという、誰にでもできるルーチンワークです。

ハフィントンポストのように、バイラルコンテンツをオリジナルコンテンツへの導線として融合させたり、ありふれたバイラルネタを独自の切り口でコンテンツ化できる人、ユーザー心理を揺さぶる秀逸なタイトルを付けられる人などは、メディアの戦略としてバイラルコンテンツは有効的だと思いますが、どうやらそれは、媒体や人を選ぶようです。

私自身も2つばかりバイラルメディアを立ち上げてみたのですが、「誰にでもできることを、自分もやっているという」事実に気づいてしまった時、その更新の手が止まってしまったのです。


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