Facebookの若者離れ。ユーザーの減少にアプリ「Slingshot」で対抗!




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「人が増える」という理由で人が増え、「人が減る」という理由で人が減るというスパイラルループによってサービスが衰退していくのが、SNSを始めとするCGMメディアの定めであり、mixiの衰退もそのようにして起こりました。

インドのFacebookユーザーの数が1億人を超えて、アメリカを抜いて世界一という話題がありましたが、逆に言えば、これまで1位であったFacebookの母国であるアメリカのユーザー数が伸び悩んでいるということです。これは既にリーチできるネットユーザー層にサービスが行き届いてしまい、残りの利用していない層についてはWEBサービスなんてお構いなしの人達なので、アメリカ国内でのユーザー増加は難しいかもしれません。

日本でもそうで、Facebook利用者数は1300万人超あたりで、まだまだ利用していない人は多く、伸びしろはあるけれど、感覚的にタイムラインは閑散としていて、一部の頻繁に投稿する人と、大部分の投稿しなくなった人に分かれてしまったように思える。Facebookを使わなくなったユーザーは、特別な理由がない限り退会というアクションはとらないのでユーザー数自体は増えていくでしょうけど。

そうであるならは、これから頑張ってネット感度の低い人たちにリーチするよりは、現時点で学校に入る前の世代や、これから生まれてくる人たちを含め、ネットデビュー前のユーザーが魅力的だと思うFacebookにしなければ活気のあるサービスを継続していくことは厳しいでしょう。

焦っているサービス提供側は何かしらの化学反応を起こしたくて、カンフル剤として新機能を投入するものです。mixiの場合は足跡機能の廃止やコミュニティの検索インデックス化がそうであったように、Facebookではいくつかの挑戦的な試みを開始しだしているようです。

(もちろんカンフル剤は、裏目にでることもある。)

Facebookの新機能「匿名ログイン」

主に開発者向けのイベントとなっているFacebookのF8カンファレンスでは、「匿名ログイン」という機能を発表しています。この機能は、サードパーティーのアプリに個人情報を渡さずにアプリにログインできるという機能ですが、実名主義という軸をずらしてまで方向性を変えたことに、Facebookが抱えている弱点が見える気がします。

Facebookは、元々はアメリカ国内の大学生に限定したサービスでした。一定の範囲内での閉じた世界のSNSとしてはさぞかし居心地がよかったでしょうけど、サービスが成長するにつれてFacebookは、それぞれのライフステージで出会った人の蓄積サービスになってしまった。

人は、それぞれのライフステージ毎に出会いと別れをくりかえし、そのライフステージ毎に成長したり、あるいは、違う顔として生きているものです。であるにも関わらず、これまでの全て人に、1つのタイムラインで自分の今の顔(フェイス)が切り取って情報公開されてしまうのは、Facebook内での投稿を躊躇してしまう理由として簡単に想像できます。

Facebookは、その巨大化した自分の体重によって足腰が弱まって行動がはばかられる肥満体のように、何かアクションするには重すぎる存在になってしまった。そのために、心理的にアクションのフットワークが軽くなる「匿名」という方向性に乗り出したのでしょう。

ユーザー同士には、これは確かに匿名に見えるのですが、Facebookの内部では実名を把握できているので、Facebook内でこれまで集積したそのユーザーの趣味・嗜好データを、ログイン先のアプリ内に広告に利用して表示できるため、有効な収益が見込めているのではないでしょうか?

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メッセージングアプリケーション「Slingshot」

もう一つのFacebookの挑戦は、メッセージングアプリの「Slingshot」

アメリカを始めとして日本でもそうなりつつありそうですが、既にFacebookが浸透した国の10代や20代の若者に起こっているのが、snapchatやInstagramといったサービスに乗り換える、いわゆる「Facebook離れ」です。そして、乗り換え先のサービスに共通することは、限られた範囲の(本人たちは閉じた世界と思っている)友達たちと気軽に投稿し合えること。特に最近は、一定時間が過ぎると投稿が自動で消滅するという、時限式のメッセージングサービスが人気のようです。

この短時間消滅型のサービスに需要があることを見出だしたのがsnapchatで、その需要に気づいて数々のプレイヤーが参入してきました。AppleはiMessageに自己消滅メッセージを追加し、ヤフーは自動消滅型メッセージングサービス「Blink」を提供する会社を傘下に入れています。日本ではmixiが、muuk (ムーク)という、相手が見たら消えるという写真メッセンジャーアプリをリリースしています。最近では友達に「Yo.」と言うだけのアプリ(なんて機能だ!)、その名も「Yo.」もユーザーが急上昇しているらしい。

Slingshotも同じように気軽に投稿できるアプリなので、対象となるターゲット層はこれらと同じ、Facebook離れしていった若者です。Facebook製のアプリなのに、最初の登録にFacebookアカウントを利用していないあたりが、そういうことなのだろうなぁ感を漂わせます。

Slingshotがユニークなのは、友達が送った画像や投稿を見るには自分も投稿し返さなければならない点。そういったところでどれだけ差別化できるのか。

若者減っていいじゃないか

ある意味で、Facebookから若者が減るのは当然の流れです。

フェイスブックが大きくなるに連れて、いつしか若者たちのものだけではなく、親や祖母の世代までが利用するプラットフォームに拡大してしまいました。

よく言われるように、Facebookなどのソーシャルメディアが目指しているところが、「現実世界をオンライン上に築くこと」であるならば、年頃の若い人たちが親の目を離れて仲間と無茶を楽しみたいと思うのは当然のことであり、親がいる実家を離れて、一人暮らしや寮生活で友達と生活を楽しみたいともうのは自然の流れで、むしろ、現実世界を置き換えていると言えます。

しかし、現実にも若者が一定の歳をとると親元に戻ってくるように、Facebookはこれ以上無駄な機能を追加しなければ、SlingshotなんかリリースしなくてもFacebookに戻ってきてくれる気はしますけどね。

ところで、Facebookが買収したOculusはかなり魅力的だな。


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